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2008年05月 アーカイブ

2008年05月02日

酒の肴としての餅

酒の肴としての餅
東京のが餅以外には菜つ葉位しか入らないのであるからそれよりも具が少ない雑煮はあり得ないとも考へられる。-
東京の雑煮をちやんと作つたのは旨いものである。それに使ふ餅は東京のは勿論話にならないが餅はどこのでも今は手に入つてその中で新潟の餅が飛び切り上等であるということは既に書いた。そして不思議にかういふやり方では一緒に入れる小松菜が何かも生きて来てこれが菜つ葉だといふ味がするのみならず気のせゐか、その緑も冴えて見える。それに純白に焦げ目が付いた餅で汁が光り、傍に味醂でなくて酒に屠蘇散を浸したお屠蘇があって正月が間違ひなく正月になる。この他にも餅の食べ方は色々あつてもかうした東京風に作つた雑煮が一番餅の味を引き立てるやうで、これが確かなことに思はれるのはかうする以外に餅が酒の肴になるといふことが考えられない。或はかうして始めて餅のやうなものも酒の肴になるので、これは東京風の作り方を工夫した人間、或はこの仕来りが出来た江戸の人間全体が酒飲みだつたことを示すものでなければならない。

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2008年05月10日

東郷平八郎、水上勉

東郷平八郎、水上勉
東郷元帥は国賓としてアメリカを訪問した。晩餐会が催され、シャンパンの乾杯は国務長官のブライアンが音頭をとる役だった。しかし彼は禁酒主義者なので、水の杯をとりあげていった。「あなたは水の上で勝利を手に入れられたのだから、水の杯を乾しましょう。次にシャンパンの上で勝利をえられた時には、シャンパンの杯を乾しましょう。
田中英光に誘われて、水上勉は新橋の屋台に飲みに行った。その頃妻に去られた水上は子供をおぶっていた。彼が背中の子をどこかに置き忘れた話は有名だが、彼は「いや、子供好きのママさんにあずけたのだ」と打ち消している。しかしとにかく、そのママの屋台がどこにあるかを忘れたことは確かで、子供をさがし出すのはなかなか大変だった。

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2008年05月14日

獅子唐

獅子唐
また獅子唐(シシトウ)の佃煮を試みられてみるがよい。これは、やわらかいのをえらんで、はじめ油でいためてから、醤油と味醂、酒で味をととのえて煮つめる。砂糖を使ってはいけない。どんな料理にも砂糖は禁物である。私の家では、砂糖はコーヒーと紅茶の隠し味にしか使わない。したがって年間の消費量が四キロをこえたことがない。そのかわり味醂は四合壜を月に四本は使う。味醂と酒をふんだんに使うことが肝要である。酒は地酒がいちばんよい。市販の有名な特級のようなまずい酒を使ってはいけない。酒屋へ行き、名もない地酒の一級酒を求めてこられよ。樽酒が一番よいが、一般の家庭ではこれは無理だろう。話がよこにそれてしまったが、獅子唐の佃煮は、二袋か三袋を煮つめておくと、夏場なら一週間は保(も)つ。かかるのは手間だけである。金はかからない。

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2008年05月16日

しぼり

しぼり
以前の酒袋による酒の「しぼり」には、「あらばしり」「中取り(中汲み)」「せめ(押し切り)」の三段階がありました。あらばしりは、長野県の真澄の商標になっていますが、しぼり始めた時の多少にごった部分のでてくる段階です。その次に、透明な一番良い部分がでてくるのが「中取り」です。この後、酒袋を積み替えて、もう一度圧搾してでてくるのが「せめ」です。これらは最後には一緒にされるのが一般的です。現在、一般的な酒しぼり機では、その境界が分かりにくくなっています。吟醸酒のしぼりでのみで残っているということなのでしょう。

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2008年05月28日

白洲次郎の酒

白洲次郎の酒
しかし白洲には白洲なりの考えがあり、悠々とポルシェを足代わりに使った。彼にとってポルシェは乗るに価する自動車だった。そこには優秀な機械に対する彼なりの畏敬の念のあった。欧州をグランド・ツーリングした際に、ベントリーに対して懐いたと同様の。好きでもないのに見栄や体裁で黒塗りの高級車を買う連中を蔑んだ。会社や官庁の当てがいぶちならまだしも、プライベートで乗り回すなら、自分の好みを克明に表すべきだと考えていたのである。また、祇園で名義をはべらし、大いに酒を飲んだ。それでも滅多に酔うことはなかったという。たまに酔うと日本語より英語が飛び出し、日本語の語彙が減ってしまうのは長い英国留学のせいである。それでも分別を失わず、いい酒であったと彼女たちは言う(前掲,『太陽』)。(「白洲次郎の生き方」 馬場啓一) 「軽井沢のゴルフ場に頑固者の支配人がいて-」という話を聞いたことがありますが、それがこの人だったようです。

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2008年05月30日

古稀(七十歳のこと)

古稀(七十歳のこと)
「人生七十 古来稀(まれ)なり」という杜甫の詩からできた言葉です。この詩は「曲江」といって、この句の前には「朝廷から帰って、毎日、春の着物を質に入れて、毎日曲江のあたりへいって酔いを尽くして帰る。飲み屋へのつけは当たり前で行く先々は借金だらけ。」という部分があり、この後に、「人生七十-」と続きます。死んだら借金は踏み倒しといった感じのようです。古希の持っているイメージとは大分違いますね。(朝回日日典春衣 毎到江頭尽酔帰 酒債尋常行処有 人生七十古来稀)

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